ランニング愛好家の皆様、日々の鍛錬、お疲れ様です。
私も長年ランニングを生活の一部としてきましたが、近頃、59歳という年齢を迎え、これまでのランニングスタイルを見直す時期が来たように感じています。
身体と向き合い、ペースダウンを受け入れる
毎日のように長時間・長距離を走り込み、月間200km、300kmといった数字を追い求める日々は、今の私には少々過酷に思えてきました。身体への負担を考慮し、「少しペースを落とそうか」と考えるようになったのです。
走る時間を減らすことで、休日には自然と空白の時間が発生します。この余白をどのように埋めるか、思案の日々が始まりました。そして、試行錯誤の末に辿り着いたのが、以下の二つの新しい習慣です。
- ウォーキング教室への参加
- 昔ながらの銭湯への訪問
新しい習慣からの静かな収穫
ウォーキングでは、単に歩くだけでなく、「正しい歩き方」が「正しい走り方」の基本であることを再認識しました。何より、景色を慈しみながら歩く散策の楽しさを再発見できたのは大きな収穫でした。
銭湯は、そのレトロな佇まいや設備が醸し出す雰囲気に心惹かれました。それ以上に、長年通い詰める常連客の方々の、古き良き文化に根ざした静かな作法や振る舞いに、ささやかな感動を覚えました。風呂上がりの心地よい気分に浸りながら、見知らぬ街をそぞろ歩く非日常感は、なんとも言えない趣があります。
「歩き」と「湯浴み」の相乗効果を楽しむ、京都での一日
そして先日、これら二つの習慣を組み合わせた一日が、非常に心豊かな時間となりました。この体験は、私と同じようにペースダウンを考えている方や、怪我で休養中の方への一つの提案になれば幸いです。
京都駅近く、歴史を紡ぐ「大正湯」
所用で京都駅を訪れ、午後5時半ごろに解放された私は、せっかくなので少し歩いてみようと思い立ちました。Googleマップを開くと、ホテル群の中にポツンと「大正湯」の文字が。迷わず向かいます。

二度目の「街中ふらっと銭湯体験」は、もう躊躇いはありません。昔ながらの木札の靴箱に靴を入れ、番台へ。都会らしいカラッとした対応の中年女性に料金を支払い、浴室へ足を踏み入れます。
京都の銭湯は現在一律550円(石鹸は別途40円)。歴史を感じる赤・青レバー式の洗い場がありながらも、コンパクトな空間にサウナ、ジェットバス、水風呂が揃っています。客層は年配の方が中心ですが、若い方も見受けられました。皆様の、一連の動作に無駄のない振る舞いが印象的で、この土地ならではの文化を感じました。
私もそれに倣い、静かに湯を堪能。風呂上がりには、懐かしい瓶の雪印牛乳をいただき、銭湯を後にしました。
夜の「渉成園」にて、静寂を味わう
銭湯を出た後は、ほっこりとした気分で散策です。再びGoogleマップを開き、以前ウォーキング教室で外周を歩いた東本願寺の飛び地庭園、「渉成園(しょうせいえん)」が気になりました。
調べてみると、ちょうどライトアップ期間中。迷いなく向かいました。

結果、これが大正解でした。
幻想的な景観と落ち着いた雰囲気が素晴らしく、何より人が少なく静か。訪れている方もほぼ日本人で、心安らぐ空間でした。多くの方が「東寺」のライトアップへ向かわれたのでしょう、ここはまさに穴場です。「いいな」と感じた場所で、誰にも邪魔されず、一人静かにその情景を味わえたことが、何よりの贅沢でした。

京都駅近くにありながら、一歩足を踏み入れると別世界が広がる渉成園。その夜の佇まいは、筆舌に尽くしがたい風情を湛えていました。
印月池(いんげつち)の水面は、まるで静止した鏡のように澄み渡り、真紅や黄金色に染まった紅葉の数々を、ありのままに映し出します。池の底から湧き上がるように浮かび上がる**「逆さ紅葉」**は、現世と幽玄の世界が交錯するような、幻想的な美しさを醸し出していました。
そして、この歴史ある京の名勝庭園の借景として、遥か彼方にそびえ立つライトアップされた京都タワー。江戸時代の風雅な庭園美と、現代の都市のシンボルが織りなす対比は、不思議な調和を生み出し、見る者の心を深く揺さぶります。
古都の静寂な夜に、燃えるような紅葉の色彩と、未来を照らすかのようなタワーの光が織りなす幽美な光景は、まさに至福のひとときでした。



終わりに
走り続けることも大切ですが、時には立ち止まり、歩き、湯に浸かり、心を休める時間もまた重要です。
ランニングという「動」の活動から、ウォーキングや銭湯という「静」の愉しみへ。こうした緩急織り交ぜた過ごし方が、長く健康的なランニングライフを続ける秘訣かもしれません。
皆様もぜひ、ご自身のペースで、豊かな休息の時間を見つけてみてください。
ありがとうございました。
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